種をまくために用意するもの
用土
種まきに使う土は、清潔性、通気性、排水性、保水性に優れてることが大切です。よく使われる土には、バーミキュライト、ピートモス、赤玉土、ピート板、ジフィーセブンなどがあります。
自分で用土を作る場合は、赤玉土(小粒)5・ピートモス3・バーミキュライト2の割合で混ぜます。
初心者の方におすすめなのは、 市販されている種まき用土です。 そのまま使用可能な土で 、殺菌済みなので安心して使えて便利です。 自分で土を組み合わせて作ることができない場合など、種まきの知識がなくても育てることが可能です。
種をまく容器
種をまく容器は、市販されているものでもいいですが、卵パックやイチゴパック、野菜や食品が入っていたパックなども使えます。底に穴をあけて使います。
セルトレイ(プラグトレイ)
小型の育苗鉢が連結したパネル状のポットのことです。移植を好まない花の場合には、セルトレイを用いると根にあまり触れる必要がないので、根を傷めず便利です。本葉が数枚出たらポットに仮植えしたり定植します。用土は種まき用の土がよく、粒が大きい赤玉土などが多いと、取りだした時に根鉢が壊れやすいです。
ビニールポット
大粒の種や、箱まきで移植の時に根を壊されるのを嫌う草花に向いています。 「点まき」で2、3粒ぐらいまいて、元気なのを残すように間引きします。
ビニールポットにまくと植え替えの手間がなくなり、失敗も少なくなります。ビニールポットは2.5~3号(直径約7.5~9cm)のサイズのものを使います。使い捨てにしないで、破れるまで何度でも利用しましょう。
再利用する時は、前の土が残らないように十分に水洗いをします。
ピートバン・ピートポット
ピートバンは、ピートモスを圧縮し板状にしたものです。最初はピートバンとトレーがセットになっているものを選びます。トレーは何度も使えるので、次回からはピートバンのみを購入しましょう。
ピートポットは、ピートモスを円柱状に圧縮し、小さな用土入りのポットにしたものです。
ピートバン・ピートポットとも水に浸けると膨らみます。直接種をまき、周囲に根が張ったらそのまま植え付けます。 細かい種をまくのに適しています。
ジフィーセブン(水でふくらむタネまき土ポット)
吸水させるだけで培養土ポットになります。苗が生長したら、そのまま土に植えられるので、根が傷みません。比較的粒の大きいタネに最適です。
ジフィーポット・ジフィーストリップ(そのまま植えられる鉢)
種まき用土を入れて使用し、ポットごとそのまま植えられるので、根が傷みません。
種のまき方
草花の種まきでよく行われるのは「ばらまき」の方法です。細かい種は浅い平鉢に、 中くらいの大きさの種は育苗箱にまき、鉢底から給水させる事が多いです。
種をまくときは、用土を十分に湿らせてからにします。
種まきの方法は、種が入っている袋に記載されているので、しっかり確認してから種まきをしましょう。
小~細粒の種をまくとき
種をまんべんなく「ばらまき」します。薄く重ならないようにまくのがポイントです。紙を二つ折りにして、種をのせて揺らすようにまくと、かたよりなくまけます。
小さな種の場合は、種が流れないように底面から吸水させるようにします。水を上からかける場合は、ごくこまかな霧吹きなどを使います。
本葉が2,3枚になったらポットに仮植えして苗を作ります。
大粒の種をまくとき
「点まき」といって、おもに大粒の種を直にまく場合に用います 。ポットや花壇などに2、3カ所の穴を作り、そこに一粒ずつまきます。双葉になって葉が触れ合うようになったら、元気なのを1本だけ残して間引きします。
好光性種子 と 嫌光性種子
種には、明るい場所でないと発芽しない好光性種子と、暗い場所でないと発芽しない嫌光性種子があります。種袋に発芽の条件が詳しく書いてあるので、しっかり確認してから種まきをしましょう。
好光性種子
好光性種子は、光が当たっていないとうまく発芽することができません。好光性種子をまくときには覆土はしないか、ごく薄い覆土とします。 プリムラ類、デージー、オダマキ、サルビア、ペチュニア、キンギョソウなど
嫌光性種子
嫌光性種子は、光が当たっているとうまく発芽することができません。
種が隠れるように確実に覆土をします。
直まき
庭や鉢に直接まいて育てます。移植を嫌う種類(太い直根が真っすぐ伸びるものや、マメ科やケシ科の植物など)、 種が大きく芽が出やすいものは直まきします。
残った種は保存できます
種が残ってしまった時は、保存の仕方によって翌年も利用することができます。
保存方法は、袋の中に乾燥剤を入れて袋の口を折ってクリップなどでとめておきます。それを冷蔵庫などの冷暗所に入れて保存しておきます。発芽率は低下していきますが、3年くらいは利用できます。
種まき後の管理
種まき後の置き場所
種まき後は日陰におくというのが一般的ですが、日の当たらない場所に置いておくと、苗がモヤシのように徒長した状態になり、ひ弱な苗ができてしまいがちです。
ここでは種まき後は、軒下などの多少日の当たる(半日程度日が当たる)場所に置いておきます。多少日の当たるというのは、直射日光が当たらない程度のことで、日が当たりすぎるのもよくありません。
水やり
種が発芽するには、水分が不可欠です。種は水に含まれる酸素を吸収しながら生長し、種皮を破って発芽し、発根をはじめます。発芽までは土が適度に湿っている状態を保つことが大切です。
基本的には、発芽してから根が十分に育つまで、土が乾燥しないように水やりを続けます。
発芽したら徐々に日当たりのよい場所に移し、土の表面が乾いたら、芽をつぶさないように注意しながら静かにたっぷりと水を与えます。
間引きのやり方
発芽まで4日~1週間ほどかかります。ポットの場合は種を2~3粒まいているので、2~3本の本葉がでていることになります。これを間引きをして1本立ちにするのですが、どの苗を残すか選び方のポイントがあります。
本葉が左右対称に同じ大きさに揃っているものを選びます。
本葉がゆがんでいたり奇形だったりするもの、小さすぎたり間のびしているものは避けます。特に伸びすぎているものは、ひ弱な苗になってしまうので避けましょう。
間引きをするときは、苗を指やピンセットでつまんで引くようにして抜きます。 残しておく苗を傷めないようにするのが大事です。うまく抜けないときは、無理をしないでハサミで根元を切ります。
1本立ち後の管理
本葉が2,3枚になったらポットに仮植えし、1本立ちにします。無理に土を落とさなくてもよいので、植えるときは、土を無理に落とさないようにし、できるだけ根を切らないように注意します。用土は培養土を利用して、肥料は葉が伸びるようになってから与えます。
1本立ちした苗はこれから大きくなっていくので、水やりも頻繁に行う必要があります。水やりは苗が倒れないように、目の細かいじょうろで行います。
置き場所は2~3日は半日陰、その後は日当たりのよい場所に移します。
春まきの場合は日照時間が長いため大丈夫ですが、秋まきの場合は日照時間が短くなっていく時期なので、日の当たる場所を選んで場所を移動させていくといいでしょう。
追肥は丈夫で旺盛な根を作るため、カリ分が多い肥料を選びます。おすすめは粉末の「ハイポネックス」です。これはカリ成分が多く入っているため、根を育てるのに適しています。ハイポネックスでも液体は花や実を育てるのに適しているので、ここでは使用しません。
粉末のハイポネックスを1000倍くらいに希釈して使用します。速効性があり、すぐに効果がでますが、持続期間は長くないので、1週間に1度程度の割合で追肥するようにしましょう。